12月 「クリスマスのその夜に」
クリスマスが近づいてきましたね。
今回の「Teachers’ Voice」をご担当くださるのは竹内先生です。
クリスマスにちなんだ本や映画のお話をしていただきます。
今回は「クリスマス」に関わる本や映画について、とりとめなく話したいと思います。
子どもたちは成長に伴い、「サンタクロースは本当にいるのか?」と疑問を抱き始めます。
1897年、ニューヨークのある新聞社は、ひとりの子どもが社に寄せたそんな疑問の手紙に素敵な社説で答えました。
「サンタクロースをみた人は、いません。けれども、それは、サンタクロースがいないというしょうめいにはならないのです。 ... (中略) ... 信頼と想像力と詩と愛とロマンスだけが、その(筆者注:目に見えない世界をおおいかくしている)カーテンをいっときひきのけて、まくのむこうの、たとえようもなくうつくしく、かがやかしいものをみせてくれるのです。」(中村妙子訳・東逸子絵『サンタクロースっているんでしょうか?』偕成社より引用 )
映画『34丁目の奇蹟』(原題:”Miracle on 34th Street”1947)に登場する少女も同じく、サンタクロースの存在に疑問を抱いていました。
この映画に登場する自称サンタクロースは、「ホームを抜け出した老人」という〈あいまいな存在〉として登場します。
サンタクロースは、正面切って姿をあらわさないところに良さがあるようです。
ベント・ハーメル監督が、ノルウェーのある小さな町でクリスマス・イブに並行して起きる複数の「物語」を描いた『クリスマスのその夜に』(2010)も紹介したい映画です。
そこには本物のサンタクロースは現れませんが、どこかぎこちない性格をもった〈弱き存在〉としてかかわりあう、異教徒をも含む登場人物たちに向けて、どこかから温かいまなざしが注がれていることが実感できる映画です。
『あとかくしの雪』(木下順二作『日本民話選』所収、吉井爽子表紙絵 岩波書店)という日本の民話も、サンタクロースは登場しませんが、そういえばこの時節の物語でしたね。
良いクリスマスを。
右:『あとかくしの雪』(木下順二作『日本民話選』所収、吉井爽子表紙絵)岩波書店
(竹内 伸宜)