11月 「物へのかかわりにあらわれる心」について
今回の「Teachers’ Voice」の担当は「発達心理学」などを
ご担当されている竹内先生です。様々な物から見た心についてお話しいただきます。それではどうぞ!
私は発達心理学にかかわる講義を担当しています。乳幼児期の心の発達についてお話しすることも多いです。
乳児や幼児はことばというものを年長者のように使いこなすことができません。
ですから当然、彼らは心の世界について私たち大人に「語って」くれません。
心の世界について探るためには、その振る舞いに目を向けることが必要になります。
なにものかについて感じ、考え、表現する乳児や幼児の心の世界を探るには、その身体に注目するだけではなく、
その身体がかかわっている物にも目を向ける必要があります。そのようなこともあり、講義ではいろいろなものを講義に持ち込みます。
哺乳瓶、ガラガラ、積み木、布製のボール、などがおなじみのアイテムとなっています。
模擬授業などで高校生の方たちにお話しに出向くときなども、それらを持っていきます。
哺乳瓶は「口唇探索反射」や「吸綴反射」、ガラガラは「把握反射」や「第二次循環反応」、そして「対象物の永続性」実験でも使い、
積み木は「象徴的思考」、布製のボールはやりとりの「相補性」やゲームの「ルール性」についてお話しするときの手がかりとして使っています。
心の発達についてまだあまり学んだことのない学生さんたちには、これらの専門用語は少し耳にしたものもあれば、意味不明のものもあるかと思います。 できるだけ具体的に、段階を追って説明する際に、これらの物は活躍してくれます。 ところで、これらの物は子どもに手渡しておくだけではその心は探れません。
それを使いこなして、子どもたちとかかわりあうことのできる専門家の心と技法が必要になってきます。
授業が終わり、プレゼンテーション用の機器類も片付け終わり、研究室に戻ろうかと教室を見渡して、
しまい忘れて机上に転がしてあった数個の積み木が、いつのまにか写真のような光景になっているのを見る機会があると、
「保育を学ぶ学生さんたちだなあ」と温かい気持ちになります。
(竹内伸宜)